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治験とは「新しい薬」の承認を得るために厚生労働省の指導に従い実施している「治療を兼ねた試験」のことです
治験は第1相から3相まで試験段階があり、結果をまとめて厚生労働省に提出しやっと薬として承認されます。ひとつの薬が誕生するまでには10~18年もの長い研究開発期間があり、効き目の確認や安全性の評価など、さまざまなテストが繰り返されます。
病院で使われている薬や普段使っている薬は、多くの一般の方々がボランティアとして参加した『治験』を経て、効き目と安全性が確認され、厚生労働省の承認を得たうえで発売されています。
従来、承認を取得することが目的であったため企業主導で行われてきましたが、法改正により必ずしも企業の開発プロセスに乗る必要はなく医師主導でも実施可能となりました。
私たちが使っている薬は、多くの一般の方々がボランティアとして参加した『治験』を経て誕生しています。
治験とは、国から薬として承認を受けるために行う臨床試験のことをいいます。治験は、新しく開発された薬の人での有効性(効き目)や安全性(副作用)などを確認します。
治験で得られたデータを国が審査し、病気の治療に必要で、かつ安全に使っていけると承認されたものが「くすり」となります。
なお、講談社「国語辞典」第二版では、「治療試験の略、試験的使用のこと」と記載されています。
新薬は、研究者や医師の力だけで世の中に送り出されるものではありません。薬の開発の中で最も重要な有効性と安全性を確認するためには、患者さんをはじめ多くの方の理解と協力をいただく、「治験」が必要です。
治験に参加される方と医師との間で築くパートナーシップこそが、新薬開発の基礎となります。
新薬の開発は以下の手順で行われます。
研究室での実験を通じて、数多くの新規化合物の中から、新しい薬の可能性があると判断されるものを選別します。
選別した化合物の効果と安全性を調べるため、ネズミ、ウサギ、イヌなどを使った動物を用いた試験に入ります。通常3~5年をかけて繰り返し実験します。
動物を用いた試験で効果と安全性が確認されたものだけが「新しい薬の候補」となり、人による臨床試験に入ります。これが「治験」です。なお、治験にも通常3つの段階があります。
治験を繰り返し、効果と安全性が確認されたものだけが厚生労働省に承認され、病気で苦しむ人を助ける新薬が誕生します。
新薬ができるまでの流れをご紹介しましたが、治験にもステップがあり、通常下記のような4つの段階があります。
各段階のデータをすべてとりまとめ、厚生労働省に承認申請を行い、厳正な審査をパスし、承認されたものだけが一般の医療機関で新薬として使われるようになります。
安全性や吸収・排泄等の確認
用法・用量の確認
既存薬やプラセボ等との比較
治験を経て承認された薬が市販された後、より多くの患者様の治療で使われたときの効果や安全性を確認
治験を経て、承認を受けた薬が市販されると、多くの患者さんの病気の治療に使われるようになります。そのため、多くの患者さんの治療で使われたときの効果や安全性についての情報を集めることが法律により定められています。
この情報を集めるため、患者さんにご協力をいただいて医療機関で行われる試験を製造販売後臨床試験といいます。この試験の結果は、効果や安全性の情報として、厚生労働省に報告され、治験と同様に審査が行われます。
治験は、あくまで参加する方の「本人の自由意志」に基づいて行われますが、治験に参加いただいた場合のメリットしては、治験内容や医療機関の体制によって多少の違いはあるものの、概ね次のようなことがあげられます。
これまでによい薬がなかった場合、新しい治療を受けるチャンスがあります。(※1)
経験豊富な治験担当医師による丁寧な診察を受けることができます。
一般の診療に比べ、よりきめ細かい検査が行われるため、ご自身の病気の状態を詳しく知ることができます。
治験薬の費用や治験薬を服用(他に注射など)している間の検査費用は支払う必要がありません。(※2)
そして、何よりもかけがえのないことは、「次の世代によりよい薬を残すために協力する」という社会貢献ができる点にあります。
(※1)製造販売後臨床試験の場合は異なります。
(※2)製造販売後臨床試験の中には、試験薬の費用や試験期間中の検査費用の負担がある試験もあります。
比較の対象 | 一般の治療 | 治験 |
---|---|---|
使用される薬は? | 厚生労働省の承認がとれています。 | 厚生労働省の承認はとれていません。 (※1) |
薬を飲む目的は? | 治療を目的として飲みます。 | 試験を主な目的としますが、治療的な側面を持つこともあります。(※2) |
病院は? | 患者さんが希望する病院であれば、どこでも治療を受けられます。 | 患者さんが希望しても、指定の病院以外受けることができません。 |
医師は? | 主治医以外の医師が診察することもあります。 | 治験担当医師(複数の場合もあります)が一貫して診察します。治験担当医師以外が診察することはありません。 |
診察時間は? | 一般的には短時間です。 | 一般の治療より長くなります。 |
検査内容は? | 健康保険の適用範囲内で行われます。 | 一般の治療より、きめ細かな検査を行われます。 |
(※1)製造販売後臨床試験で使われる試験薬(プラセボを除きます)は、厚生労働省の承認がとれている薬です。
(※2)製造販売後臨床試験で使われる試験薬(プラセボを除きます)は、実際の治療で使われている薬ですので、必ず治療的側面があります。
治験実施にあたっては、治験に参加される方の人権と安全性が最大限守られなければなりません。そのため、「薬事法」という法律と厚生労働省が定めている「医薬品の臨床試験の実施の基準」(GCP:Good Clinical Practice)によって、治験実施に関する厳格なルールが規定されています。その中から主要な7項目をご紹介します。
なお、治験を経て、承認を受けた薬が市販されてから行われる製造販売後臨床試験の実施にあたっても、治験の場合と同様に薬事法やGCPを遵守(きまりなどにそむかず、それをよく守ること)しなければなりません。また、厚生労働省が定めている「製造販売後の調査及び試験の実施に関する基準」(GPSP:Good Post-marketing Study Practice)によって、試験実施に関する厳格なルールが規定されています。
インフォームド・コンセントとは、治療を受ける前に「自分の病気のことやその治療方針について医師等から十分説明を受け、患者さんが説明の内容をよく理解し納得した上で、患者さん自身の意思で治療を受けることに同意する」という意味です。
インフォームド・コンセントは一般の治療でも行われていますが、治験には試験的な側面があるため、参加される方の人権を尊重し安全性を守る、という点からも欠かすことのできない手続きとなっています。
治験におけるインフォームド・コンセントは、治験の目的や治験薬の特徴、治験の実施方法などが記載された同意説明文書をもとに、医師が参加を希望される方に説明を行います。
参加を希望される方は疑問があれば質問し、納得できるまで説明を受けることができます。また、その場で参加を決めかねるときは家族や友人に相談してから最終的な判断をすることもできます。
より良き医療行為を行うために、患者と医師がきたんなく話し合い、協力してパートナーシップを築くことこそが、インフォームド・コンセントの基本的な考え方と言えます。
治験参加の同意説明文書にサインした後でも、参加者自身の判断で、理由の如何にかかわらず、いつでも治験参加を取りやめることができます。
インフォームド・コンセントは、治験に参加される方の人権と安全性を守るためのものです。治験に参加される前に、必ず以下の点の説明を求め、確認しておきましょう。
なお、いずれの治験の場合においても、以下のような質問に対する答えは全て同意説明文書と呼ばれる文書に詳しく書かれています。
治験では、治験薬の有効性や安全性を正しく評価するために、「プラセボ」という偽薬が使われる場合があります。プラセボは、見た目や味などは治験薬と全く同じながら、効果や副作用をもたらす化学的な成分は含まれていません。
治験薬の効果や副作用がどの程度なのかを調べるためには、プラセボと比較することが最も科学的な方法と言われており、新薬開発において、プラセボは欠かせない存在となっています。
最近ではプラセボを用いた治験が多く見られますが、それはあくまで倫理的に問題がない場合にしか用いません。病気や薬の状況により、プラセボを用いないケース(例:がん)もあります。
プラセボを用いる治験 | プラセボを用いない治験 |
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治験によっては、治験に参加される方に「治験薬」か「評価の対照となる薬」のいずれかを服用していただくことがあります。評価の対照となる薬は、既存の薬の場合もあればプラセボの場合もあり、治験期間中は、担当医師も参加者本人もどちらの薬を飲んでいるのかがわからないようになっています。
これは、先入観が排除され、治験薬の正しい評価ができるようするためです。こうした治験の進め方を二重盲検法といい、一般的な治験の実施方法となっています。
すでに市販されている薬でも、治験薬でも、さまざまな効果がある反面、好ましくない作用、つまり副作用がないものはなく、これは避けようがありません。
重要なことは、副作用をいかに未然に防ぐか、また、副作用が起きてしまった場合にいかに早く適切に処置を受けるかという点にあります。
そのためには、まず担当医師の指示通りに正しく薬を服用(他に注射など)することが何よりも大切です。 また、薬の副作用について知識を深めておくことも必要です。
薬を服用(他に注射など)した際にいつもと違う感じがあれば、担当医師に早めに申し出るよう心掛けてください。
製薬メーカーが開発した薬剤を医薬品(お薬)として世に出す為には、事前に厚生労働省の承認・認可を得ることが法律で義務化されています。
この承認を得るために行う「治療を兼ねた試験」を「治験(ちけん)」と言います。
治験は、前臨床試験で有効性や安全性を十分に確認した後に、健康な人や対象疾患の患者様に対して実施されます。
私たちが普段使う薬は全て、多くの一般の方々が治験ボランティアとして治験に参加した結果、承認されたものです。
同じ悩みを持つ多くの患者様のためにも「治験」へのご協力をお願いいたします。
治験に自発的に参加・協力していただける方を「治験ボランティア」と呼んでいます。
治験参加中は、交通費や検査等の負担を軽減する目的で、負担軽減費が支払われます。
安全性や吸収・排泄等の確認
用法・用量の確認
既存薬やプラセボ等との比較
治験を経て承認された薬が市販された後、より多くの患者様の治療で使われたときの効果や安全性を確認