気になる病気の症状・原因・予防
肺炎は免疫力が落ちるとかかりやすい。
肺炎は、病原菌の感染によって起こります。体力が落ちているときや、高齢によって免疫力が弱っているときにかかりやすいとされています。
肺炎とは、さまざまな病原菌の感染によって肺に炎症が起こった状態のことです。一般的には、体力が落ちているときや高齢になって免疫力が弱くなってくると、かかりやすくなると言われています。
肺炎の原因となる細菌やウイルスは、呼吸をするときに鼻や口から身体の中に侵入します。健康な人は、のどでこれらの病原菌を排除することができるのですが、風邪などをひいてのどに炎症が起こっていると、病原菌が素通りして肺に入ってしまい炎症をおこしてしまいます。ただし、風邪にかかった全ての人が肺炎になるのではなく、肺に侵入してしまった細菌の感染力が人の免疫力を上回った場合にだけ発症します。
日本では、全死因別にみると年間約8万人が肺炎により死亡し、その死亡率は8.6%になります。死因順位は、最近20年間第4位を占めています(「国民衛生の動向」1999年度版より)。
肺炎の主な症状はせき、発熱、悪寒、胸痛、喀痰、呼吸困難などで、これらの症状は数日間続きます。しかし、高齢者では食欲不振や元気がないなどの症状のみが前面に出る場合あるので注意が必要です。
身体所見としては、浅くて早い頻呼吸と頻脈がみられます。また、聴診上は病変部分に肺胞呼吸音の減弱、気管支呼吸音および水泡音が認められ、打診上では濁音が認められます。 病変が高度であればチアノーゼ(くちびるや爪が青黒くなる)が認められることもあります。
肺炎は肺に吸入された病原菌、菌に感染した環境などによって呼び方が違います。
肺炎は肺に吸入された病原菌、菌に感染した環境などによって呼び方が違います。
分類 | 病原菌 | 特徴 | |
---|---|---|---|
市中肺炎 | 細菌性肺炎 | 肺炎球菌、インフルエンザ菌、S.milleri、黄色ブドウ球菌など一般細菌 |
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非定型肺炎 | マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラなど細菌以外の病原体 | ||
院内肺炎 | グラム陽性菌、グラム陰性桿菌など |
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嚥下(えんげ)性肺炎 | 口腔内常在菌(連鎖球菌、嫌気性菌、グラム陰性桿菌など) |
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肺炎の診断のための検査は下記の表のように大きく3つに分類されます。
ほとんどの場合は、肺炎であるとの診断は胸部X線によって確定され、肺炎を引き起こしている病原菌を特定するためには、痰や血液などの検査も行われます。しかし、正確な病原菌を特定できない例は肺炎の患者さんの半数にも達しています。
検査項目 | 特徴 |
---|---|
胸部X線検査 |
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血液検査 |
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病原菌の特定 |
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肺炎の診断はまず、患者さんの自他覚所見の問診から行います。肺炎を疑った場合は、胸部X線検査を行います。それと同時に、血液検査も実施しこれらの検査結果を総合して肺炎と診断します。また、重症度の判定と病原菌の検索も行います。
重症度の判定は、治療を外来または入院で行うか、抗菌薬を点滴剤または経口剤で行うかを判断するために必要です。
判定項目 | 軽症 5項目中3項目以上に該当 |
重症 5項目中3項目以上に該当 |
---|---|---|
胸部X線像の陰影の広がり | 1側肺の1/3まで | 1側肺の2/3以上 |
体温 | <37.5℃ | ≧38.6℃ |
脈拍 | <100/分 | ≧130/分 |
呼吸数 | <20/分 | ≧30/分 |
脱水 | (-) | (+) |
(注)チアノーゼ、意識レベルの低下、ショック状態の症例は上記とは関係なく重症とする。
判定項目 | 軽症 3項目中2項目以上に該当 |
重症 3項目中2項目以上に該当 |
---|---|---|
白血球 | <10000/μl | ≧20000/μl あるいは <4000/μl |
CRP | <10㎎/dl | ≧20㎎/dl |
PaO2 | >70Torr | ≦60Torr、SpO2≦90% |
(注)軽症と重症のいずれにも該当しないものを中等症とする。
日本呼吸器学会「呼吸器感染症に関するガイドライン」2000より一部改変
原則として、軽症及び中等症例で脱水を伴わない症例は外来での治療、中等症で脱水症状を伴うもの及び重症例では入院して治療を行います。ただし、65歳以上の高齢者で通院が困難な場合は入院して治療することになります。
一般的には、病原菌に対して適切な抗菌薬での治療が行われれば、1~2週間で胸部X線像の浸潤影は消失して治癒しますが、免疫力が低下している人や高齢者、また複数の菌に感染している人などは症状が重くなり、死亡するケースもあります。
肺炎を起こした病原菌にあった抗菌薬による治療が重要ですが、その特定には時間がかかるため、まず始めは推定病原菌に対しての治療(エンピリック治療:empiric therapy)を行うことになります。その後、病原菌が特定されたら、その菌の感受性によって治療薬の変更を検討することになります。
また、化学療法の効果判定は治療開始3日後に行うのが原則で、軽症~中等症の細菌性肺炎では抗菌薬の投与は3~7日間で十分です。ただし、非定型肺炎や重症例では、さらに継続投与が必要となる場合もあり、自他覚症状の改善、炎症所見の正常化、肺炎陰影の改善などによって判定を行っています。
疑われる肺炎の分類 | 選択される抗生物質 | |
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細菌性肺炎の疑い |
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非定型肺炎 | マイコプラズマ、 レジオネラ |
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クラミジア |
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院内肺炎 |
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嚥下(えんげ)性肺炎 |
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せき、痰に対する鎮咳薬、去痰薬の治療とともに、発熱に対する解熱薬、消炎薬での治療も行い、患者さんの身体への負担を軽減させます。
薬剤 | 効果 | 副作用 | |
---|---|---|---|
鎮咳薬 (ちんがいやく) |
麻薬性 鎮咳薬 |
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便秘、眠気、嘔吐、めまい、血圧低下など |
非麻薬性 鎮咳薬 |
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腹痛、下痢、便秘、眠気、食欲不振、口渇など | |
去痰薬 (きょたんやく) |
気道分泌 促進剤 |
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食欲不振、嘔吐、下痢、腹痛 |
気道粘液 溶解剤 |
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||
気道粘液 修復剤 |
|
※治療に当たっては、必ず専門医にご相談ください。
治験は本人の自由意志で参加することが出来ます。
強制ではありません。治験を途中で中止することも可能です。
(負担軽減費の例:2泊3日×2回⇒8万円)
被験者さんの診察待ち時間を短くするために、治験専門の外来診察が設置される場合があります。
治験に参加することは、病気で苦しんでいる患者さんに役立つことになり、医療の発展という社会貢献につながります。
製薬メーカーが開発した薬剤を医薬品(お薬)として世に出す為には、事前に厚生労働省の承認・認可を得ることが法律で義務化されています。
この承認を得るために行う「治療を兼ねた試験」を「治験(ちけん)」と言います。
治験は、前臨床試験で有効性や安全性を十分に確認した後に、健康な人や対象疾患の患者様に対して実施されます。
私たちが普段使う薬は全て、多くの一般の方々が治験ボランティアとして治験に参加した結果、承認されたものです。
同じ悩みを持つ多くの患者様のためにも「治験」へのご協力をお願いいたします。
治験に自発的に参加・協力していただける方を「治験ボランティア」と呼んでいます。
治験参加中は、交通費や検査等の負担を軽減する目的で、負担軽減費が支払われます。
安全性や吸収・排泄等の確認
用法・用量の確認
既存薬やプラセボ等との比較
治験を経て承認された薬が市販された後、より多くの患者様の治療で使われたときの効果や安全性を確認
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