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気になる病気の症状・原因・予防
骨がスカスカになり骨折しやすくなる骨粗しょう症(骨粗鬆症)は、閉経後の女性に多くみられる病気です。カルシウムやビタミンDを積極的に摂る食事療法のほか、運動療法、薬物療法などで治療します。
骨粗しょう症(骨粗鬆症)とは、骨がスカスカになり骨折しやすくなる病気です。しかも、骨全体が弱まって骨折してしまうため、折れてしまった骨が元に戻る までに時間がかかるようになってしまいます。また、骨折が原因で日常生活行動(ADL)の低下、さらには寝たきりになってしまうことが大きな問題となって います。
『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年度版』によると、わが国の骨粗しょう症の患者さんは、女性が約800万人、男性が約200万人、合計1000万人と推定されています。高齢化社会に伴い、骨粗しょう症になる人の割合は高くなると考えられます。
女性は、ホルモンのバランスが大きく変化する閉経後、骨密度が急激に減少するため、骨粗しょう症になる人の割合が高くなります。
男性は、女性に比べると、骨粗しょう症になる人の割合は低いですが、加齢と共に腸管からのカルシウム吸収が低下するため、70歳を過ぎると骨粗しょう症になる人の割合が高くなります。
骨粗しょう症になり、骨が弱くなることで次のような症状が現れてきます。
初期 | 無症状 | 骨粗しょう症の初期には自覚症状は全くありません。 |
---|---|---|
進行期 | 疼痛(腰背部痛) | 痛みの種類として、安静時の痛み~不快感、前屈時痛、起坐位時の痛み、歩行時の痛み、寝返り時の痛みがあります。 |
骨折 | 骨折しやすい部位として、大腿骨頸部、脊椎、橈骨遠位端、上腕骨頸部、肋骨があります。 | |
脊椎変形に伴う症状 |
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骨粗しょう症を引き起こす原因はさまざまで、遺伝のほかに、食事や運動、喫煙、飲酒といった生活習慣の影響などがあります。
骨粗しょう症は原因によって、次のタイプに分けられます。
骨粗しょう症の検査には、大きく分けて2種類の方法があります。一つが骨量測定といわれるもの、もう一つは椎体(胸・腰椎)のX線写真です。
などに使用しています。
検査方法 | 測定部位 | 測定方法 | 特徴 |
---|---|---|---|
DXA法 | 腰椎や大腿骨、全身骨、橈骨(腕)、踵骨(かかと) | エネルギー量の異なる2種類のX線をあて、骨密度を測定する。 | 骨量測定の標準方法とされている。 |
SXA法 | 橈骨(腕)や踵骨(かかと) | 測定部位にX線を照射して、組織の吸収率から骨密度を測定する。 | 短時間で、高い精度の測定結果を得られる。 |
MD法 | 第二中手骨(人さし指) | X線写真をとり、その濃度をアルミのスケールと比較して骨密度を測定する。 | 検査が短時間で済むので、多数例のスクリーニングに適している。 |
pQCT法 | 橈骨(腕) | X線によるコンピュータ断層撮影法によって測定する。 | 三次元骨密度(mg/cm3)を測定することができる。 |
QUS法 | 踵骨(かかと) | 足を水の中につけて超音波を当て、かかとの骨の状態を測定する。 | 超音波を使った測定法なので、妊婦の測定も可能。 |
参考:『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版』より
骨量測定と脊椎X線写真による鑑別診断で、ほかの疾患ではないことが確認された後、脆弱性骨折(軽い衝撃で起きた骨折)の有無やYAM(20~44歳の若年成人の平均値)との比較によって診断されます。
『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版』より作成
まずは、自分がどのような症状かを知ることから始めましょう(骨粗しょう症の診断を参照)。すでに骨粗しょう症になってしまっている方は、食事療法・運動療法・薬物療法の3点で治療を行ないます。
まだ骨粗しょう症になっていない方は、食事療法・運動療法を心掛けることによって骨粗しょう症の予防をすることができます。
日常生活における、骨粗しょう症予防のための食事療法の基本的な考え方は栄養素を過不足なく摂取することです。 日本人の高齢者において、800mg/日以上のカルシウム摂取でようやくカルシウム出納がマイナスにならないことがわかっています。
更年期、老年期の骨密度減少を抑制するためには、最低でも800mg/日以上のカルシウム摂取が必要です。また、カルシウムの吸収をよくするためにビタミンDの多い食品を組み合わせることも大切です。
運動習慣を身につけ、適度に骨に負荷をかけてあげることが、骨密度を保ち骨折を予防するのに役立ちます。
また、屋外に出て日光に当たることで皮膚から体内へのビタミンD産生を促すことができます。
散歩(ウォーキング)や買い物に行くなど、こまめに体を動かすことを心がけましょう。
骨粗しょう症の基本的な治療法は、あくまでも
の3点です。しかし、骨密度が大幅に減少している人は、このような生活改善だけで骨密度を増やそうというのは無理があります。
そこで、少しでも効果を高めるため、これらの生活改善と並行して薬による治療も行ないます。
治療薬 | 効果 | 副作用 |
---|---|---|
活性型ビタミンD3 | カルシウムの吸収を増加させ、新しい骨を作るのを助けます。 | 胃部不快感、吐き気などの胃腸の調子をおかしくすることがあります。 |
カルシトニン | 骨密度の減少を抑えて、背骨や腰の痛みを和らげます。 | 注射した後すぐに、顔のほてり、めまい、吐き気が起こることがあります。 |
エストロゲン | 骨密度を増加させます。女性ホルモンの分泌が減少する閉経期の女性が対象となります。更年期に起こるほてり感などの症状にも効きめがあります。 | 性器出血が見られることがあります。また、乳がんになる可能性が若干高くなるとされています。 |
イプリフラボン | 骨密度の減少を抑えます。カルシトニンの分泌を盛んにするほか、新しい骨を作るのを助けます。 | 胃部不快感、吐き気などの胃腸の調子をおかしくすることがあります。 |
ビタミンK2 | 骨密度の減少を抑えて、新しい骨を作るのを助けます。 | 胃部不快感、吐き気などの胃腸の調子をおかしくすることがあります。 |
ビスフォスフォネート | 骨密度を増加させ、背骨の変形を起こしにくくします。 | 胃部不快感、吐き気などの胃腸の調子をおかしくすることがあります。 |
※治療に当たっては、必ず専門医(整形外科など)にご相談ください。
骨粗しょう症の予備軍とは、骨粗しょう症になる危険性の高い方のことを指します。では、どのような方なのでしょうか?
骨密度が低い方(若年女性平均骨量(YAM)の70~80%)はもちろん、最大骨密度の低い閉経前の女性、閉経周辺期に急速な骨減少を生じている女性などがあげられます。
また、骨粗しょう症の危険因子を有する方は、骨量測定値が若年女性の平均骨量(YAM)の90%以上である場合でも、将来の骨量減少に備えた心構えが必要になってきます。
骨量を維持するには女性ホルモンが重要です。妊娠すると胎児にカルシウムが移行しますが、女性ホルモンは通常の10~20倍の高い値になり、体重も10キロぐらい増えるため、妊娠の時期は骨量が増えるといってよいでしょう。
お産直後は閉経レベルまで女性ホルモンが下がるとともに、長期にわたる授乳でカルシウムを喪失するので骨量が減り、トータルでは妊娠・分娩・授乳時期の骨量は不変といえます。
痩せて綺麗に見せたいというのは、多くの女性の願望でしょう。しかし、最近の若い女性に多い無謀なダイエットは要注意です。
10代は、骨をどんどん作っていかなければならない時期。また20~40代は一生で骨量が一番多くなり、それを減らさないように維持しなければならない時期です。
その時期に、骨に必要なカルシウムが十分摂取できないばかりか、極端なダイエットのせいで生理が止まり、ホルモンのバランスを崩すようなことがあれば、若くても骨粗しょう症や骨粗しょう症予備軍になる危険性が高まります。
外見は綺麗に痩せても、内側の骨がボロボロでは「真の綺麗」とはいえません。健康的な美を求めるためにも、極端なダイエットは控えましょう。
治験は本人の自由意志で参加することが出来ます。
強制ではありません。治験を途中で中止することも可能です。
(負担軽減費の例:2泊3日×2回⇒8万円)
被験者さんの診察待ち時間を短くするために、治験専門の外来診察が設置される場合があります。
治験に参加することは、病気で苦しんでいる患者さんに役立つことになり、医療の発展という社会貢献につながります。
製薬メーカーが開発した薬剤を医薬品(お薬)として世に出す為には、事前に厚生労働省の承認・認可を得ることが法律で義務化されています。
この承認を得るために行う「治療を兼ねた試験」を「治験(ちけん)」と言います。
治験は、前臨床試験で有効性や安全性を十分に確認した後に、健康な人や対象疾患の患者様に対して実施されます。
私たちが普段使う薬は全て、多くの一般の方々が治験ボランティアとして治験に参加した結果、承認されたものです。
同じ悩みを持つ多くの患者様のためにも「治験」へのご協力をお願いいたします。
治験に自発的に参加・協力していただける方を「治験ボランティア」と呼んでいます。
治験参加中は、交通費や検査等の負担を軽減する目的で、負担軽減費が支払われます。
安全性や吸収・排泄等の確認
用法・用量の確認
既存薬やプラセボ等との比較
治験を経て承認された薬が市販された後、より多くの患者様の治療で使われたときの効果や安全性を確認
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